怠惰のまさか度

どれだけ怠惰性を貫けるか、みたいなアレです。

怠惰

 歯医者へ行った。虫歯による歯痛を治すためだ。いい歳して食い物の入り口に大量の菌を住まわせてしまったわけだ。情けない。

 こんな事になったのは深い事情が…あるはずもなく、ただただ歯磨きをサボっただけだ。全く、いい歳して歯磨きもできないとは。

 

 いくつになっても歯医者は怖い。笑われようが構わない。歯医者は怖い。痛いわけではない。あれしきの痛みは気にならない。

 歯科医の腕は確かだ。僕は彼らを信頼している。にも関わらず、怖い。歯医者とはそういうものなのだ。

 歯医者の何が怖いのか。そう、あのライトだ。あの光に照らされると、人体改造でもされているような心持ちがしてくる。

 そして、あのドリル(のような機器)の音である。あの機器が自分の視界の外で自分の身を削っているのだ。そして、悪魔の雄叫びと歯の断末魔が聞こえてくる。怖い。

 

 あのライトの光とあのドリルの音を浴びたとき、いつも思い出す光景がある。いつか見た、本郷猛がショッカーにより改造人間にされるシーンだ。いや、僕の枕元にいるのはあの黒マスクではなくて白衣の天使なんだけども。

 歯の治療ですらこれほど怖ろしいのだ。本郷猛の感じた恐怖は想像を絶する。その痛みも同様だ。あいつらの腕はダメだろう。たぶん、かなり雑な手術をする。絶対痛い。

というかショッカーはなぜ全身麻酔をかけないのだろうか。もう少し被検体に優しくてもいいのではないか。ヘタに抵抗されてダメになったら大損だ。その辺は大丈夫なのか?リスクマネジメントとかちゃんとしろよ悪の組織。

 

 などと考えているうちに処置は終了する。まぁ同じような事を週に一回のペースでやってもらわなければならないから、終了した訳ではないのだけど。一旦休止という訳だ。

 かなり神経を消耗した感があるが、これらは全て己の怠惰が招いた事である。やれやれ。まぁしかし、たかが歯磨きをサボった程度で人体改造を受けなければならないのだ。

怠惰というのは、やはり大罪である。

 

 

 

 

 

2017/10/14                               山中馬之助