慢性的睡眠不足と引き篭もった社会性
慢性的睡眠不足である。つらい。とてもつらい。
恐ろしきことに、一晩眠れぬ夜を過ごすと昼夜は簡単に入れ替わる。つらい。とてもつらい。
現在深夜4時を回り、朝刊が届けられる音がした。ようやく微量の眠気が香ってきた。この分だと眠気のピークは早朝に来る。
無論、今日は平日であるから眠るわけにはいかない。
学校とは、奇怪で、狂った場所である。
あの巨大な校舎は魔王でも住んでいるような気すらしてくる。
万全の状態でもかなりつらいのだ。眠らずに行けばスライム辺りに殺されてしまうだろう。
ただ、悪い事ばかりではない。睡眠不足だと注意力が致命的に欠ける事になるが、裏を返せば蛮勇を抱く事にもなる。
失敗の可能性を認識できなくなるのだ。
通常なら、蛮勇というのは、あまり抱くべきではない。しかし、僕のような日陰者ならどうか。他者との関わりを極力避けている透明な存在に、蛮勇によって色がつくのだ。
僕は元々他人が好きじゃない。だけど、関わりを避けてしまったのは愚策だった。消しゴム1つ借りる相手がいないのは不便だし、孤独はつらい。寂しい。
人は社会的動物なのだ。孤高の存在にはなれない。
だが、自らの手で閉じた扉は誰も開けてはくれない。そんなお人良しはいないし、何より内鍵が締まっている。自分で開かなければいけない。それができないまま、ここまで来てしまった。
しかし、僕には蛮勇がある。抱いて良いものかはわからないが、確かに、この内鍵をぶち壊す力はある。
外に出よう。失敗したって構わない。落ちるところまでもう落ちた。ここは地獄の釜の底だ。
などと考えながら、朝日を待つ。
眠い。
2017/10/03 山中馬之助